『ワーキングウーマンtype』 2002春号





 2月28日(金)発売 春号
 『ワーキングウーマンtype』
 潟Lャリアデザインセンター発行
 大テーマ
 女の転職リミットはありますか?

 <掲載記事>
 ●NYの転職事情● 34&35ページ
  〜日本人女性が人気って本当?〜
  〜海外転職ってどうなの?〜

 ●就労ビザを取得してNYでたくましく働く女性たち●

 ●ケーススタディ● 36ページ
  〜あなたのキャリアで就労ビザは取れる?〜




●・●・● 記事掲載内容 ●・●・●

NYの転職事情

〜海外転職ってどうなの?〜
〜日本人女性が人気つて本当?〜


アメリカ、特にNYを訪れると、いきいきと働く日本人女性に数多く出会います。
なぜ、彼女たちは海の向こうに仕事を求めるのか------。
そこには、30代シングルでも、結婚して子供が産まれても働きやすい環境があるようです。
しかし就労ビザなしには、働く環境は手に入りません。

取材・文/神舘和典 写真/白土恭子 イラスト/小野トモコ


●Point *1  日本人女性の持つ仕事への誠実さが評価されている。

「ほかの国、ほかの街はわかりませんが、NYには日本人女性が働くチャンスがあるのは確かです」とは、NYのマンハッタンで日本人を対象に就労ビザ取得のフォローを行う「CareerUP New York」の顧問弁護士ダニエル・グリーンさん。実際、NYで働く日本人は多い。「マンハッタンやすぐ隣のニュージャージーの数多くの日本企業では、駐在員のほかに現地採用も行っています。アメリカ企業も日本人を好んで雇用するケースが少なくありません。なぜ日本人を好むのか------それはアメリカ人やほかの国の人と比べて働く態度が優れているからです。もちろん人によりますが(笑)」

日本人の持つ、規則を守り、遅刻せず、残業を拒否しないという、仕事への誠実な姿勢が、アメリカ人経営者に喜ぱれているそう。日本ではごく普通の勤務態度を守れないアメリカ人は、実は少ないという。「またNYには一般企業のほかに、建築関係、デザイン関係、ファッション関係、ショービジネスなどあらゆる仕事があります。器用な日本人に適した街とも言えます。」

現在、就労ビザの取得のためにグリーンさんのもとを訪れる日本人の7割は女性だという。「日本の会社で働く女性には、見えない年齢制限のようなものがありますよね。30歳を過ぎると居心地が悪くなったり、シングルであることがネガティブにとられたり、出産=退職のような、そういう女性のリミットというか、働く女性にとって不利な条件が、日本と比べてNYは圧倒的に少ない。そこに日本女性の多くが魅力を感じているのでしょう」(CareerUP New York 伊藤晴美さん)


●Point *2 各職種に適合したビザを持たずには給与を得られない。

しかし、外国へ行って、日本人がすぐに働けるわけではない。言うまでもなく、給与を得るには就労ビザが必要。そもそもビザなくして長期間滞在することもできない。「ビザにはあらゆる種類がありますが、企業で何かしら専門分野を活かして給与を得るにはH1-Bビザが必要です。つまりビザがあっでも、それが学生のFビザでは企業で働いて給与を得ることはできません」(伊藤さん)

ビザ取得には、各職種に必要な条件を満たしていなければならない。その職業のスベシャリストであることが認められ、勤め先のビザサポートが得られることが必要だ。また移民弁護士のサポートなしにビザを取得するのも難しい。「私のオフィスにも、英語に堪能な日本人がよく自信満々でやってきます。でもここはアメリカ。英語はしゃべれて当然という評価です。その上で何ができるか。それが、ビザを取得できるかどうかの大切なポイントです」(グリーンさん)

先日も、日本で偏差値の高い大学の一つを卒業した男性が相談に来ました。でも彼の大学での専攻は心理学で、最初の仕事は旅行代理店、次がアパレル系企業での営業でした。一貫性がありません。いくら高学歴でも、学んだ学部や職種に一貫性がないとビザは取得できません」(伊藤さん)


なぜアメリカなのか、何ができるのか、いつまでに何をしたいのか、自分の経歴でビザが取れるのか、どうやってビザをサポートしてくれる企業を探すのかなどが明確でないとビザを手に入れることはできない。


●Point *3 自由と引き換えに所得減も覚悟!? それでも海外へ?

アメリカで働くことは、日本人女性に有利な面ばかりではない。働くチャンスの多いNYですら、東京と比べて給与が下がる場合がある。物価や家賃は東京とほぼ同じだが、8・25%のTAXと15-20%のチップを支払うレストランではNYが割高。さらに、日本のデフレ傾向や円安傾向を考えると、全般的にNYの物価の方が高く感じるかもしれない。

「アメリカの大学を卒菜すれば、1年間のプラクティカル・トレーニング・ビザ(PT)で合法的に働けますので、この間に就職したいと思う企業でインターンとして働き、実力を認めてもらうのが、企業のビザスポンサーを獲得する一般的な方法。日本の大学を卒業した人でも、学位によってはそのままH1-Bの取得条件を満たしている場合がありますので、PTを取得するために、最低9ヶ月専門学校へ通うという方法もあります。ただし、この場合、PTを発行しない学校がありますので、学校選びには注意が必要です。いずれにしても、アメリカでの就職を目指すには、学費などの金銭的な準備も必要。それでも行きたい、という決意の人には、是非チャレンジして欲しいですね。(伊藤さん)


●お話しを伺った方々●

「CareerUP New York」顧問弁護士
ダニエル・グリーンさん
NYマンハッタンのオフィスで、日本人をはじめ様々な国籍の就労ビサ諏得のサポートを行う弁護士。

「CareerUP New York」代表
伊藤晴美さん
アメリカで就職を目指す日本人のためのキャリアアップ留学・就職コンサルティング業務を行う。



就労ビザを取得してNYでたくましく働く女性たち


■最初に依頼した弁護±にピザの期限切れ聞近に断られ…

「CHAlKEN」デザイン・コ一ディネーター
中尾智子さん(31歳)

長崎県出身。大学卒業後、東京の広告代理店に就職。3年間勤めた後、服飾関係の専門学校で2隼間勉強、NY
へ渡る。ファッション関係の大学で1年間勉強の後、現在の「CHAIKEN」に就職。昨年、自分のブランド「Protein」を
立.ち上げる。NYマンハッタンのロウワーイーストサイドで2人のルームメイトと暮らす。

      

NYに来たのは27歳のとき。どうしても服飾関係の仕事に就きたくて東京の広告代理店を退社。日本で2年間専門
学校へ通い、NYの大学に留学しファッションデザインを専攻しました。卒業後は「CHAIKEN」というファッション系の
会社で働いています。最初はプラクティカル・トレーニング・ビザです。入社してすぐ弁護士にH1-Bビザ取得の依頼
をしました。ところがあと2週間で期限切れのとき、ビザが取れないと連絡が入ったのです。私も、会社のボスも青く
なって次の弁護士を探して、情報誌の広告を通して出会ったD・グリーン氏に救われました。私は日本で出た大学
の専攻が心理学で、ファッションと無関係であるところがネックになったようです。ただ、結局は弁護士の力によると
ころも多いと感じました。NYで働くメリットは、女性だからと差別されないことと、日本のような残業が少ないこと。フ
ァッションショー前の忙しい時を除けばタ方6時30分には仕事を上がれるので、今後子供ができても預けて仕事をし
やすい。また夜は全てプライベートに使えます。私の場合は、たっぷりある夜の時間を利用して「Protein」という自
分のブランドを立ち上げました。ただNYは日本人で女性だからと差別されない分、逆に日本での実績も評価されま
せん。ときどきつらく感じることはありますね。




■H1・Bピザがな<て300社から不採用になリました

日系企業で書類作成業務
岩田弓乃さん(28歳)

東京都出身。高校卒業後、テレビ朝日で契約社員として働く。22歳でNYへ。秘書の専門学校に入り、短大に転
部。卒業の後、アルパイト生活を経て現在はNYマンハッタンの日系企業で精密機器などの書類作成の仕事に就
く。ニュージャージーで独り暮らし。

      

22歳でNYへ来た理由はすごくミーハー感覚なんです。俳優のリバー・フェニックスのファンだったことと英語の習
得。とりあえず秘書の専門学校に入り、同じ学校の短大に転部しました。卒業後帰国しなかった理由は、アメリカ
でもっと何かをつかみたいと思ったから。実はボーイフレンドもいましたし(笑)。ただ、それから苦労が始まりました。
H1-Bビザがないと、企業はどこも雇用してくれないんです。300社くらい書類を出してもだめでした。短大を出てプラ
クティカル・トレーニング・ビザをもらえたので、しかたなくアルバイトをして暮らしました。朝9時からタ方5時までは日
本の乳製品メーカーでタイプを打ち、夜は11時までレストランでウェイトレスです。それでも家賃の高いマンハッタン
では生活できません。お湯が出なくなっても家賃を2ヶ月滞納していたので大家さんに文句を言えなくて、お風呂に
入れなくなったり…。そんな時期はガス台で沸かしたお湯で体をふいたほどです。一番大変だった9ヶ月間は、毎
食アルバイト先でくれる酢飯で暮らしました。そんなときに今の会社に誘っていただき、ようやくH1-Bのビザを取得
できたのです。職を得て、比較的家賃が安いニュージャージーに引っ越し、会社で働きながら大学を卒業。今は大
学院に通っています。


あなたのキャリアで就労ビザは取れる?

●●ケーススタディ〜●● 


●CASE *1 佐々木さんの場合

有名大学からアメリカ大学院へ。英語力を生かして働きたい!

佐々木佳織(仮名)26歳・女性
1998年京都大学文学部歴史文化学系西洋史学専修 卒業
2001年Howard University, Washington DC, 大学院哲学科卒業(修士)
職務経歴なし。

アメリカで受けた教育・英語力を生かして、ニューヨークで何か仕事に就きたい。日本よりも、アメリカの生活の方が自分に合っていると思う。


■佐々木さんへのアドバイス■

大学名よリも專攻が重要
職務経験がないのがネック

この方は、学士・修士号を取得されていますが、残念ながら歴史.哲学という専攻科目は、アメリカでの就職にはほとんど役に立ちません。アメリカの就労ビザを取得するために大前提となるのは、大学で受けた教育が仕事内容に一致しているかどうか、ということです。従って、いくら有名な大学を卒業していても、例えば、哲学科で学んだ知識を生かせる仕事というこは、大変限られています。唯一可能性があるとすれば、人事部の仕事になるでしょう。しかしながら、人事部の仕事はある程度の経験が要求されますので、その道の職務経験がない場合には、H1-B就労ビザの取得は大変難しいと言わざるを得ません。どうしてもアメリカで働きたい場合、ビジネス・マーケティング、経済などの比較的ビザの取り易い学位を取得なさることをお勧めいたします。



●CASE *2  高橋さんの場合

英文科卒だから英語は比較的得意。NYなら仕事は何でもいい。

高橋美佐子(仮名)29歳・女性
1993年 大妻女子大学短期大学 英文科卒業
〜1995年商社にて貿易事務として2年従事
〜1998年電気関連企業にて3年間、国際セールス部門でグループ・アシスタントを担当
〜2002年大手ホテルの役員秘書として現在4年目

昔から、ニューヨークが好きで、旅行で何度でも訪れている。いつかNYに住みたいと考えていた。英語はある程度できるので、どんな仕事でも挑戦したいと思う。

■高橋さんへのアドバイス■

短大卒では就労ビザは無理。アメリカで学位を補えば可能性も。

H1-B就労ビザを取得するには、基本的に4年制大学の専門分野での学位が必要です。また、英文科専攻でビザを取るのは、これも大変不利。英文科の学位では、作家、エディター、出版業務などの分野の就職に限られてしまいます。しかも英語で作家やエディターを目指すというのは、ほとんどの日本人にとって非現実的ですね。とはいえ、道が無いわけではありません。学位の無い場合、1年間の大学教育が、3年間の職務経験によって代用されることが認められています。例えぱ、合計9年間の一貫した職務による実務経験がある場合、3年間の大学教育と同等と見なされます。しかしながら、アシスタントや事務の経験は、H1-Bの定義である専門職とは見なされませんので、やはりビザの取得は難しいと思います。高橋さんの場合、短大2年のクレジットを利用して、あと2年間アメリカの大学でビジネス、マーケティング等の学位を取得されることをお勧めします。



●CASE *3  末長さんの場合

マーケティング一筋10年間。自分のキャリアを海外で試したい。

末長道子(仮名)32際・女性
1992年 専修大学商学部商業学科卒業
〜1995年広告代理店にて、セールス・マーケティング部で3年間勤務
〜1999年化粧品会社にて4年間マーケティングを担当
〜2002年イタリア系ファッション企業にてマーケティング・広報担当として現在3年目

ずっと日本でキャリアを積んでいくのも悪くはないが、やはり世界のビジネスの中心であるニューヨークで自分の可能性を試したい。


■末長さんへのアドバイス■

学歴と職務縫験が一致。
ピザ取得も転職も可能性大!

末長さんのケースは、大学の学位と職務経験が一致しており、H1-B就労ビザが取得可能な、最も完璧なモデルケースといえるでしょう。商学部の学位と一貫した10年問のマーケテイング関連の職歴があればニューヨークでも比較的就職のチャンスが得やすいですし、ビザの取得もほぼ100%問題がないと言えます。最後にポイントになるのは、英語力ですね。ニューヨークで就職を目指す以上、日常会話はもとより、仕事を英語でこなす為の高度な英語力が求められます。もし、英語に自信がない場合、まずは現地の語学学校で英語力の上達を目指し、勉強しながら就職関連情報を収集するのが最良の方法です。ニューヨークで就職を目指すのに、日本にいては、何も始まりません。正しいビザの知識と、現地での就職活動をいかに効率的に行うかが、成功の"カギ"です。




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